2007年11月17日土曜日

金で買えないもの

「一人暮らしがしたい。」と娘が言い出したのは、10月中頃だったろうか。

学校の近くに学生専用のワンルームのアパートやマンションがあり、敷金礼金なし、家賃共益費込みで一月2万4、5千円ほどだという。

通学に片道2時間弱、往復で3-4時間かかる。娘は、「その時間で勉強したり、アルバイトしたい。家賃と生活費はバイトで稼ぐ。」と言った。

心配でないことはないが、いい経験になるだろうと思い、反対はしなかった。妻も、そういうことを自分で決めて自分の力でやっていこうという思考や行動力がうらやましい。と言った。

部屋はあらかじめいくつか目星をつけていたようで、それから数日後には仮押さえをし、入居は11月17日に決まった。未成年なので、保証人として私の名前や印鑑が必要だが、それ以外の交渉や手続きはすべて娘が一人でやった。

親が関わったのは、エアコンの清掃や部屋の消毒などの入居前のオプションを、娘は金がないからと断っていたが、それでは気持ちが悪い、自分が出すからやってほしいと、妻が斡旋会社に電話して頼んだことくらいだ。

電話の際、アルバイトの給金が入る日と家賃の支払いの日が合わず、結局11月分は無料にしたという話や、引越し前に掃除をしたいからと言うので、契約の一日前に部屋の鍵を渡すことにしたというようなことを聞き、「なかなかしっかりとしたお子さんで・・・」とその担当が褒めて?いたと妻は笑った。

入居申請書類の保証人欄に名前を書き、実印を押す。斡旋会社と家賃の収納を代行するクレジットカード会社から本人確認の電話が入り、手続きは完了した。

引越しは、娘の友人が4人でやってくれることになっていた。そして昨夜、妻が、手伝ってくれるその友人にお礼を渡すと言ったことに娘が反発した。好意でやってくれるものを金にしてほしくないと言うのだ。妻は、親がついていて娘を手伝ってくれた友人に何もお礼をしないわけにはいかない。大人とはそういうものだと言ったが、娘は、絶対にイヤだ。そんなことなら引越屋さんに頼むと泣き、自分の部屋に駆け込んでしまった。

私は、友人にではなく娘に相当の金を渡すように妻に言った。昔、私自身も友人の引越しを手伝ったとき、友人の親からお礼だと封筒を差し出され、そんなものはいらないと断った。しかし、親として礼をしないわけにはいかない、どうしても受け取ってほしいと言われ、最終的に断りきれなかったことがあった。今ならそういうものだと理解しているが、当時は、友情を金で買われたというような気持ちが、多少なりとも残ったのを思い出していた。

娘の部屋に行くと、まだ泣いていた。自分の体験を話し、気持ちはわかると言った。友人ではなく、おまえに金を渡すようにしたから、それでおいしいものを食べてもらうなりしてお礼の気持ちを表すように言った。娘はありがとうと言った。

ただ、言っておくが、おまえも大人になり親になって、今回のように子供が誰かの好意で何かをしてもらった時に、その人に対して親は、何らかの形で礼をしなければいけないものなのだということは憶えておきなさい。気持ちは金で買えないが、気持ちに対する礼を金で行うのはごく普通で最も一般的だということも理解しなさい。それから、あとでお母さんに謝っておきなさい。と言った。

こう書くと、私も親としてなかなかやるではないかというような話なのだが、実際にはその時かなり酒が入っており、自分の体験を話しているうちに、その友人が事業に失敗して行方不明になってしまい、長く音信不通であることや、当時の感情などを思いだして気持ちが高ぶり、娘の前なのに、声を詰まらせ涙を流し鼻をすすりながら話をするという、どうにもこうにも格好の悪いことになってしまったのだった。う〜〜ん。

(監)

2007年11月11日日曜日

携帯のみアメリカへ行く。

娘が言う。「お父さん、明日からおばぁちゃんと一緒に一週間アメリカに行って来るから。これ日程表」

あのな、娘よ、そういうことはもう少し早く、というか、「お父さん、今度おばぁちゃんと一緒にアメリカに行こうと思うんやけど、行ってきてもいい?」というふうなところから話をはじめてほしいと思うのだが・・・まぁ、いいが。

え〜っと、ラスベガスとサンフランシスコか。おぉ、サンフランシスコか。お世話になったSさんは元気だろうか。もし日程が合えば遊んでもらうのもいいかと、Sさんにメールだけいれておくことにした。

プランニングや代理店とのやりとりもすべて娘がやったという。しかし、始発電車に乗って伊丹から成田まで行って、成田で6時間も待って夕方出発って・・・で、ほとんど現地フリータイム、食事もほとんどついてないって、もしかして値段だけで決めたなこれ。

お前だけやったらええけど、年寄りにはちょっと高くても関空からひとっ飛び、食事も少し豪華めのがついてるのにしたったほうがよかったんちゃうんか、などともう少しで口から出そうになったが、いろいろな不備はあっても、自分で決めて行動したということを評価してやるべきかとやめておいた。

「もし、Sさんに遊んでもらえるようなら携帯にメールを入れる」と言うと、娘は、「私の携帯もおばぁちゃんの携帯も海外で使われへんから連絡できへんで。」と言う。「お父さん、どうせ携帯使えへんやろ? お父さんの携帯貸しといて」

あのな、娘よ。確かに、電源がいつの間にか切れていたり、3日くらい前の留守電に気づいたりすることもあるが、そんな、どうせ使えへんから貸しといてなんていう、そういう言い方は・・・・まぁ、ええわ、持って行け。

というわけで、私の携帯は今年2度目の渡米中だ。

(監)

2007年11月10日土曜日

手首&マッサージ&ダイエット 〜 ド・ケルヴァンの続きのはなし(その2)

(承前) 11月初旬。新聞に整骨院のチラシが入っていた。家から歩いて20〜30分見当だろうか。

「ゲルマ温浴、岩盤浴、ブルブルダイエットマシン1ヶ月使い放題! 通常2,500円のところ、このチラシご持参の方は2,000円!」と書いてある。

整骨院なら手首の治療をしてもらいながら、首肩腰なども揉んでもらえる。行き帰りを歩いていけば運動になるし、岩盤浴などで汗を出せばちっとは痩せもするだろう。・・・一石三丁だ。と早速休みの日に行き、一ヶ月パスポートも購入した。

実際には、一日にゲルマ温浴と岩盤浴のどちらかとブルブルマシンが使えるというものだった。ゲルマ温浴を20分やると6kmジョギングしたのと同じくらいの運動になるそうで、実際かなりの汗が出る。岩盤浴も一度やってみたが、汗の量は手足だけのゲルマ温浴のほうが多いようだ。

整骨院までの行き帰りをなるべく走るようにした。体があたたまっている状態でゲルマ温浴に入るとシャツが絞れるほどに汗が出るので、タオルと着替えを持って行き、温浴の後着替えるようにした。

首肩腰などを揉んでもらって気持ちいい。しかし、手首は良くなっている感じがしない。ここには5人くらいの先生がいて、手の空いた先生が治療してくれるが、技量にばらつきがあり、全く効いた気のしない日や、手首のことを忘れられ、首肩腰をもんで「はい、今日はこれで」と言われたこともあった。

11月末。手首の痛みは改善しない。週に1〜2回、計10回くらい通ったが、このままでは治らないと思い、パスポートの期限切れとともに、ここには行かなくなった。

ただ、走るのが妙に楽しくなっていた。走り始めた数日後からしばらくは膝の皿の下あたりがかなり痛んだ。せっかく整骨に通っているので、一緒に揉んでもらった。

痛いときにはあまり走らないように言われたが、ここで止めてしまうと、二度と走れなくなる気がしたので、聞かなかったことにした。我慢して走ったり歩いたりして、もうしばらく経つと、揉んでもらっていたおかげか、膝のまわりの筋肉が成長してきたか、違和感は残るものの痛みは薄らいでいった。

(続く)
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