2007年6月15日金曜日

タイプライター物語 (3)

(承前)いくつかリサイクルショップや骨董屋にも足を運んでみた。

リサイクルショップなら、ネットオークションで出ているような、10円100円というものはないにしても、1,000円や2,000円で、「頼むから誰か買って」状態のものや、倉庫の隅に転がっている掘り出し物があるかもしれず、もしあれば実物を動作させて購入できるのでそのほうがいいかと、三軒ほど回って聞いてみたが全滅だった。

Underwood_typewriter アンティークショップは二軒回った。
一軒で、埃にまみれたアンダーウッドを見つけた。結構よい感じだったが、いくつかのキーと、ペーパーロールも動かない。

年配の店主曰く、
「使わはるんでっか? 動きまっか? ワシら、これらは動かすもんやのうて置物(おきもん)として仕入れますからなぁ。気に入ってくれたんならサンゴ(3万5千円)と言いたいところやが、サン(3万円)でどうでっか?」とのことだった。







Olivetti_typewriter_lettera
「タイプライターやったら、ここにもひとつおますけど」と店主が指差したのは、山高帽の箱の下に隠れていたオリベッティのものだった。「こっちはちょっとキーがよう戻らんのやけど、油がねばってるだけなんで、きれいに油差したら使えると思いまっせ、これやったら8千円でよろしいわ。」








Remington_typewriter
もう一軒のアンティークショップで、レミントンのものを見つけた。これもいくつか戻らないキーがあるが、比較的きれいで、少しメンテナンスしてやればなんとか使えそうだったが、若い店員がやる気なさそうだったので、声をかけなかった。2万6千円の値札が貼られていた。

ようし。だいたいわかった。市場には、もう実用的なタイプライターというものは、存在しないのだ。せっかくいろいろと調べたからまとめておくか。




《タイプライター市場についての考察》

2007年6月における手動式タイプライターの入手方法について調査を行い、下記の結論を得た。

《結論》 業務での利用、あるいは調整された完動品を求めるのであれば、下記1)の都市圏にいくつかあるタイプライター取扱企業に依頼するのがよいだろう。趣味的な利用であるなら、売り手の顔が見えないことや、可動確認などいくつかの危惧はあるものの、4)のネットオークションでの入手が適当であろうと思われる。

1) メーカー、専門店
2007年6月現在、ブラザー工業で、現行商品としての販売が確認できたほか、東京、横浜、大阪などで、新製品および中古品の販売、修理、メンテナンスを行う企業が確認できた。インクリボン等の販売や出張修理なども行っており、タイプライターのニーズがわずかながら存在することがわかる。
ブラザー(メーカー・販売)
ひかり事務機(東京)

尾河商会(横浜)

フォーテック ビジネスマシンサービス(大阪)

2) リサイクル市場
リサイクルショップなど、流通一般市場においては、既に商品価値やニーズがなく、見つけることは非常に難しい。かなりの偶然性や趣味性の高いショップでなければ、入手は難しいものと思われる。

3) アンティーク市場
1900年代初頭から第二次世界大戦の終結(1940年代)あたりまでに製作されたタイプライターは、現在、芸術作品あるいは、アンティークディスプレイとして位置づけられ、2万円〜4万円程度を相場として、一般市場においても、わずかに流通している。しかし、その価値は骨董品としての色形や雰囲気に対するものであり、本来の機能であるタイピングの可、不可によって、その価値(価格)が変動するものではない。

4) 個人売買、フリーマーケット
休日に開催されているフリーマーケットなど、個人での売買市場では、不用品として流通する可能性はあるが、開催地まで出かけても必ず見つかるというものではなく、見つけたとしても種類や性能の点で満足できるタイプライターが手に入る確率は低いだろう。選択肢の多さで言えばネット上のフリーマーケットである、ネットオークションなどを利用するのがよいだろう。

さて、問題は不用品にするか、アンティークにするか。10円か3万円か。ここが悩みどころだ。

(続く)
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