2007年12月15日土曜日

ビガマス運動 〜 ド・ケルヴァンの続きのはなし(その6)

(承前) 一週間後。初めてのビガマス運動。「最初は5分間、負荷3kgでやってみましょう。」

ビガマス運動をする機械は、エアロバイクのペダルを両足とも下に垂らした感じのものを想像してほしい。

サドルにまたがり、ペダルを足に固定、前にクッションを置き、上半身を前傾させてハンドルを軽く握る。エアロバイクと違うのは、この状態から、足を交互に後ろに蹴り上げる動作をすることだ。「エアロばた足」もしくは「欽ちゃん走り訓練」といった感じの運動になる。この運動を10分間行うことで、約1時間のウォーキングと同じくらいの運動量になるという。

ペダルへの負荷は先生が決めるが、同じ負荷でも前傾姿勢を深く、足を高く早く跳ね上げることで、かなり高負荷の運動になる。運動中、心拍数が高くなると年齢に比して負荷が自動的に軽くなるとのことだ。リハビリなどに使う医療機器なのだろう。よくできている。

また、この運動は足の付け根の部分だけを動かすもので、膝に負荷がかからないところもいい。ジョギングなどで膝を痛めることもあり、かと言って膝への負荷が少ない水泳などは、気軽にできるものではない。こういう体に優しい運動器具は健康器具メーカーなどがもっと取り組んでもいいのではないかと思う。

実際に乗ってみて、これで運動になるのかという感じで5分が経過した。

「どうです?軽い感じでした? でも、今のでほら、253kcal消費してますからね。次から一分ずつ増やしていきます。10分くらいになると、少し運動した気分になると思いますよ」

253kcalというと、なるほど30分ほど走ったのとほぼ同じくらいだ。しかし本当かね。

本題の手首は、前回の治療後確かによくなったが、またもとに戻ったような感じだと言うと、今回は筒状のものでなく、長い鍼でプスプスと腱の周りを刺して、「どうですか?」「まだ少し痛みます」「どうですか?」「いいようです」という感じで、治療してもらった。

「まず、痛みがとれて、それから腱が太くなってしまっているためにクキクキとする感じになっているんだと思いますが、痛みがとれた後、その感じもなくなっていきますので。」と先生は確信に満ちて言った。

「テーピングをしときましょう。」

細いテープを横に3本、縦に3本格子状に。で、対角線に2本。手首が戦時中の窓硝子のような感じになった。

「変わったテープですね。初めて見ました。」
「スパイラルテーピングといいます。これで血流をよくします。」
「テーピングで血流がよくなるんですか。へぇ。」

テーピングというのは患部を固定するものという頭しかなかったが、このスパイラルテーピングというのはそういうものではなく、鍼や灸と同じように、皮膚にテープという刺激を与えることで血流をよくし、痛みをやわらげるのだという。

う〜ん、信ずる者は救われる・・か。(先生はクリスチャンのようで、壁にキリストの肖像画がかかっていたり、日めくりのカレンダーに聖書の言葉が書いてあったりする。)ビガマス運動もまずまず気に入った。気長に通ってみることにしよう。

   ~ これが2007年の冬の話だ。~

その後ここには3ヶ月ほど通った。症状は少しずつ、少しずつ改善していったが、春になり、梅雨が来ても完治というところまでには至らなかった。現在でも少し違和感があり、長い時間キーボードをたたいた日などは少し痛みを感じることもある。

けれども、何よりこの腱鞘炎がきっかけで、いろんな経験をした。薬と注射満載主義の医者は、真剣に運動しようという決意を与えてくれた。次に行ったところで走ることが楽しくなった。そして、最後に通ったこの鍼灸院ではスパイラルテーピングという、自分でもいろいろと活用できそうな技術や、サンドバックの叩きかたも教えてもらったし、ビガマス運動を10分やるだけでは物足らないと言うと、これと併用して、血流を抑制して効果的に筋肉を鍛えていく「カーツトレーニング」のやりかたも教えてくれた。

そして、運動したり食生活を変えたことで、83kgあった体重が半年ほどで76kgあたりまで落ち(最近また盛り返しつつあるが・・)、体が軽く感じられるようになったことなど、得たものは大きい。 これぞ怪我の功名というものだ。(2008年11月)

(監)
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