2008年8月24日日曜日

電話

娘にTV電話をかけた。
和歌山で宴会の真っ最中とのことで、
周りは大変に騒々しく、娘も結構酔っているようだ。

「ちょっと待ってね」と言って、少し場所を移したようだ。

「私、なんか、みんなにお酒強いと思われてるみたいで、
いっぱいすすめられてるねん。どうしたらいい?」と言うので、

「梅酒ロックを飲め。一見強い酒を飲んでいるように見えるから、
他の酒を勧められることもなくなる。
ゆっくりと舐めるように飲んでればいい。」

「そうか、梅酒やったら酔えへんしな。ありがとう。そうするわ。」
「うん」

しばらく他愛のない話をした。
表情の見えるTV電話で、
マイク付きのイヤホンをつけてしゃべっていると、
娘が近くにいるような感覚になってきた。

「お父さん?」
「ん?」
見ると、涙をぬぐっている。

「お父さん、なんで大阪におれへんの?」
それが悲しいのだと、娘は言う。
「あほか」と躱したが、ちと痛かった。

自分も枚方にいて、家にはほとんど帰ってこないのだが、
帰らずとも、家に家族が居るということが、
彼女の心のささえになっていたのだろうということが
わかってしまったからだった。

TV電話でひさしぶりにお互いの顔を見て話したことで、
逆に、離れているということを強烈に意識したのだろう。

しかし、娘よ、それを父に言ってはいけない。
父は今、東京での新しい生活を、
東京での新しい仕事を思いっきり楽しもうとしているのだから、
「東京いいなぁ、私も行きたいなぁ」くらいの言葉に
しておかないと、父の心が弱くなってしまう。

そして、毎日顔を会わしている環境でなく、
東京、枚方、堺にわかれて暮しているからこそ、
お互いをいとおしむことができたのだ。
こういうのを格好いいコトワザか何かで言い表したかったが、
まったく何も思い浮かばなかった・・・。

電話を切ったあと、妻に電話した。
「よかったなぁ、娘に愛されてて。じゃね」
と軽く受け流された。


(監)
/* G-analitics ----------------------------------------------- */ /* G-analitics-END ----------------------------------------------- */