7月26日。生まれて初めての一人暮らしの夜を過ごし、ダンボールカーテンの隙間から差し込む光で目をさました。
机代わりのコタツも昨日は届かなかったので、ラーメンを作ってフローリングの床で食べた。
昨日は、ドライバーやレンチなど、自宅にならどこにでもゴロゴロと転がっている工具がなく、何かをしようとするたびに
「あ、ドライバーがなかったんや、何でそんなもんがないねんこの家は。あぁ、メガネもモンキーも無いんかいなこの家は。ほんまにしゃぁないやっちゃなぁ。」
と、何もかもが足りない不満を漏らしていた。
今日は朝から、昨日足りないと思ったものを書き出したメモを持って、街に出た。パソコンはあるのだけど、インターネット環境がないので、街のどこに何があるのか調べることもできず、東京どころかこのあたりの地図さえ持っていなかった。
インターネットのクチがないがなこの家は。無線LANかな?繋がらんけどなぁ。などと思っていたが、あとでマンションの管理会社に聞いたところでは、光の線は入っているものの、個別契約しないと使えないとのことだった。
メモには、ドライバー、モンキーレンチ、アンテナ取り付け具、カーテン、フロのイス、ハサミ、ガムテープ、洗濯カゴ、物干し竿、座椅子、食い物、折りたたみ自転車など、不自由を感じたものを思いつくままに書いていた。
特に自転車は必需品だと思った。マンションには自転車置き場がなく、自転車を買っても、小さなエレベーターに乗せて部屋の前に置いておくしかなかいので、折りたたみ式のものを買うつもりだった。でも、これらがどこに売ってるのか、見当もつかなかった。
(続く)