2008年7月26日土曜日

浅草ひとり(4)

マンションから歩いて10mほどのところに酒屋がある。今日は隅田川の花火大会が開かれるとのことで、酒屋の前では屋台が張られていた。

 知らない街で道を聞くのは、酒屋に限る。道や建物をよく知っている、お礼に酒を買えば相手も喜ぶ、特にこういう小さな酒屋と仲良くなっておくと、何かと割引などもしてくれるはずだ。

 屋台の準備をしている酒屋のおかみらしい人に声をかけた。

「あ~と、おはようございま~す。」

  おかみさんが答える。

「おはようございます。」

「私、昨日、大阪から、そこに引越してきまして、単身赴任で、はい、これからよろしくおねがいします。」

「あぁ、そうですか。まぁ、一人で。こちらこそよろしく。」

今日は花火なんですよねぇなとどいう話を少ししたあと、要件を切り出す。

「すみませんが、ちょっと教えていただきたいんですけど」

「はい?」

「このあたりに工具やカーテンなんかを売っているホームセンターのようなところはないでしょうか?」

「う~ん、ホームセンターはないねぇ。工具やカーテンねぇ・・・。サトミかライフかなぁ。」

「あ、フロのイスなんかもありますか。台所、洗濯用品なんかも」

「うん、ライフならそういうのもあったと思う。歩いていくんだよねぇ。少し遠いけど、(店の奥へ)ちょっとぉ、サトミとライフまでの地図書いてあげて。」

旦那さんらしい人が、地図を書いてくれた。

「どれくらいで歩けます?」

「サトミまで10分くらい、ライフまで20分くらいかなぁ。自転車がありゃあすぐなんだけどねぇ。」

「ありがとうございました。また来ます。」

と地図をもらって歩き出した。

雷門から2本ほど南の道を、西に真っ直ぐ抜けたところに「里美」というディスカウントショップはあった。

(続く)
/* G-analitics ----------------------------------------------- */ /* G-analitics-END ----------------------------------------------- */